どこかへ旅行に行こうと昼行便の高速バスを調べていたところ、ネットにある情報の「罠」に気づいてしまいました。
「日本最長の昼行バス」と検索すると、青森〜東京間の『スカイ号』や、富山・福井行きのロングラン路線がいくつも紹介されています。しかし、それらの多くは現在、運休・廃止されていたり、夜行便のみの運行に変わっていたりするのです。
その背景にあるのが、いわゆる「2024年問題」です。 運転士の労働時間に厳しい上限規制が適用されたことで、これまでの長時間運行を維持することが困難になり、全国で高速バス路線の廃止・減便が相次ぎました。ネット上の情報の多くは、この激動の波を反映しておらず、すでに存在しない「幽霊路線」が最長記録として残ったままになっているのです。
そこで、ネット上の古い情報を鵜呑みにせず、2026年7月1日現在で最長距離と思われるダイヤを全件チェックし、過去の古いデータや幽霊路線を一切排除た真の長距離昼行バスランキング(実車距離ベース)を徹底的に裏取りして作ってみました!
いま生き残っている路線こそが、厳しい環境下でも運行を継続できている「選ばれし強者」です。半日かけて車窓の移り変わりを楽しむ、絶滅危惧種にして最高に贅沢な「昼のロングランバス旅」の世界へどうぞ。
【本記事の選定基準(2026年7月1日現在)】
本記事では、2026年7月時点で運行されている「昼行高速バス」を対象に、走行距離の長さをランキング化しました。
距離の算出にあたっては、各バス会社が公表している公式の実車距離を最優先とし、未公表の路線については実際の運行ルートに基づく概算値を採用しています。そのため、乗換案内アプリ等での検索結果とは数値が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
徹底調査で判明:かつての「昼行ロングラン」のいま2026年7月1日時点で改めて調べ上げたところ、かつてネットで「最長」と謳われていた有名路線や、長距離を走る以下の区間は、すべて「夜行バスのみ(昼行は廃止・運休)」となっていました。
◆北海道内のロングラン: 札幌 ↔ 根室(夜行のみ)
◆東京発着(東北・北陸方面): 東京 ↔ 青森・秋田・盛岡・山形・酒田・福井・金沢(すべて夜行のみ)
◆関西発着の超長距離: 関西 ↔ 北関東・東北・九州、関西 ↔ 高知(宿毛)(すべて夜行のみ)
これだけの鉄道路線のライバルたちが夜の闇に消えていくなか、今なお「お昼」に走り続けているトップ5はどこなのか?それでは、最新の真実のランキングを発表します!
「長距離昼行高速バス」TOP5
👑第1位:キラキラ号(KR123便など)
〜横浜経由が効いた!現行ダイヤ最長のロングランナー〜
- 主な運行区間: 新宿・横浜 〜 京都・大阪・難波
- 実車距離: 約 542 km
- 所要時間: 10時間30分
- 実際の現行ダイヤ: バスタ新宿 08:40発・横浜 09:50発 ⇒ 京都 17:15着・梅田 18:30着・難波 19:10着
- ここがポイント: 栄えある第1位は、株式会社桜交通が運行する「キラキラ号」です。新宿を出たあと、一度「横浜」を経由して乗客を丁寧に拾い上げてから関西へ向かうため、ルートに無駄がなく一直線に進むJRバス等を引き離し、現行の昼行便として実車距離日本一の座に輝きました。バスタ新宿から終点の難波まで乗ると、実に10時間30分。車窓の変化をトコトン味わい尽くせる、現代最高峰の贅沢なロングラン路線です。
🥈第2位:WILLER EXPRESS(WX102便など)
〜独自の巡回ルートで距離を伸ばす、ピンクの巨人〜
- 主な運行区間: 新宿 〜 大阪(WBT大阪梅田)
- 実車距離: 約 525 km (※実車距離は公式未公表のため、運行ルートを基に算出した概算値)
- 所要時間: 9時間10分
- 実際の現行ダイヤ: バスタ新宿 08:30発 ⇒ WBT大阪梅田 17:40着
- ここがポイント: 第2位は、高速バスの代名詞とも言えるWILLER EXPRESS。予約サイトには明確な距離の記載がありませんが、詳細な運行ルートから算出すると約525kmという超ロングランになります。主要ターミナルへ細かく立ち寄る巡回ルートを設定しているからこそのこの距離。朝に新宿を出発し、夕暮れ時の17:40に大阪梅田へ滑り込む絶妙なタイムスケジュールは、1日を移動に捧げるバス旅のワクワク感を裏切りません。
🥉第3位:グラン昼特急号(ほか同系統)
〜新東名をストレートに駆け抜ける、王道の高速ライナー〜
- 主な運行区間: 東京八重洲・新宿 〜 京都・大阪
- 実車距離: 約 507 km
- 所要時間: 8時間33分
- 実際の現行ダイヤ: 東京駅八重洲南口 07:10発・バスタ新宿 07:50発 ⇒ 京都深草 14:47着・大阪駅 15:43着
- ここがポイント: 国鉄時代からの伝統を受け継ぐ、JRバスの「昼特急」が第3位。1位・2位の路線と比べると距離が短く見えるのは、新東名高速道路を軸に、無駄な寄り道をせず最短最速ルートで東京〜大阪間を結ぶ「研ぎ澄まされた運行戦略」をとっているためです。2階建てバス(スカニア製)などの快適な車両が多く投入されており、長距離ながら非常に快適で安定感抜群のクルージングが楽しめます。
第4位:名古屋・新潟線
〜本州を縦断!3つの高速道路を繋いで日本海側から中京圏へ!〜
- 主な運行区間: 新潟 ⇒ 名古屋
- 実車距離: 約 490 km
- 所要時間: 7時間05分
- 実際の現行ダイヤ: 万代シテイル(15:10発)・新潟駅(15:15発)・長岡北(16:10発) ⇒ 名鉄BC(22:15着) (※逆方向の名古屋⇒新潟は夜行バスとして運行)
- ここがポイント: 東名阪の大動脈以外から唯一トップ5に食い込んできたのが、この新潟交通と名鉄バスが共同運行する本州縦断路線です。日本海側から日本海側から北陸道・上信越道・中央道を渡り歩いて中京圏へ至るルートは、実車距離が約490kmに達します。なお、名古屋から新潟へ向かう便は「夜行」になってしまうため、明るい時間にこの大パノラマを楽しめるのは新潟発の昼行便のチケットを買った人だけの特権です。
第5位:浜田道エクスプレス
〜関西発着・地方路線の絶対王者!島根の西端を目指す旅〜
- 主な運行区間: 大阪 〜 三次・浜田・益田
- 実車距離: 約 443 km
- 所要時間: 7時間45分
- 実際の現行ダイヤ: 大阪駅 09:20発 ⇒ 三次 14:06着・浜田 16:00着・三隅 16:35着・益田 17:05着
- ここがポイント: 関西発着の地方都市を結ぶ昼行便として、他を寄せ付けない圧倒的な距離を誇るのがJRバス中国の「浜田道エクスプレス」です。中国道を西へひた走り、広島県の三次を経由して島根県の浜田、さらには山陰の西端である「益田」まで実に443kmを駆け抜けます。新幹線や特急の乗り継ぎが複雑なエリアを乗り換えなしで直行できる利便性と、中国山地を越えていくダイナミックな車窓が魅力の隠れた名路線です。
こうして見ると、かつてネットで「最長」と騒がれた路線の多くが姿を消し、今回ランクインした路線たちがいかに貴重な存在であるかがわかります。
新幹線や航空機が「目的地に早く着くこと」を追求するのに対し、長距離の昼行バスは「移動そのものを楽しむ時間」を提供してくれます。景色が移り変わり、街から街へ、そしてまた別の風景へとつながっていく車窓の変化は、夜行バスでは決して味わうことのできない、昼間の移動ならではの特権です。
「2024年問題」という大きな転換点を経て、長距離バスのあり方は今まさに再編の途中にあります。いつまでこのランキングが「最新」であり続けられるかは分かりません。だからこそ、もし気になる路線があれば、ぜひ今のうちにチケットを取って、その長い旅路に身を委ねてみてはいかがでしょうか。
この記事が、皆さんの次の「旅の目的地」を見つけるヒントになれば幸いです。それでは、良いバス旅を!
